和太鼓を始めたばかりのころは、新しいことを吸収し、できることがどんどん増えていくので練習が楽しいですよね。
ところが、しばらくたつと新鮮さが失われ、思ったように上達しなくなり、だんだん練習がつまらなくなってきます。
- がんばって毎日練習しているのに上達しない
- だんだん楽しくなくなってきた
- 日々の練習がおっくうだ
と感じていませんか?
そういう人は、もしかしたら練習の質が良くないのかもしれません。
質の悪い練習をただ何となく繰り返していても、上達スピードは上がりません。
練習の質を改善することができれば、上達を実感でき、日々の練習が楽しくなります。
では、どうすれば練習の質を良くすることができるのでしょうか?
ここでは、私がやっている練習の質を良くする方法を紹介します。
ここで紹介する練習の質を良くする方法は、和太鼓上達に限らず、ゴルフの練習、ブログのレベルアップ、子供の勉強などなど、スキルアップを目指すものなら何にでも使える汎用的な方法論だと思っています。
和太鼓上達の方程式
私は、これを和太鼓上達の方程式と呼んでます。
やる気、練習の量、練習の質の3つは、和太鼓が上手くなる速さを決める要素です。
要素 | 説明 |
---|---|
やる気 | 上手になりたいという気持ち、そのために実際に行動する力 |
練習の量 | 練習した時間×回数 |
練習の質 | 練習の内容と集中度 |
この3要素は、それぞれ独立したものではなく、相互に影響しあってますので相乗効果で働きます。
上手になりたいという強い思いがあって、実際に練習を継続でてきている人は、練習の質の向上することで上達スピードをグンと上げることができます。
準備の良し悪しが練習の質を変える
質の高い練習をするには準備が必要です。
しっかりした準備ができていれば、練習目的が明確であり、集中して練習に取り組め、効率のよい練習ができます。
準備が不十分だと、行き当りばったりな練習になって、成果も充実感も薄い練習になります。
練習の質はいつ上がるのか
毎日の練習を続けている場合、「練習⇒オフ⇒練習⇒オフ、、、」という状態を繰り返しています。
練習の準備は、オフの時間にします。
オフのときにどのような準備をするかによって、練習の質が変わり、上達スピードに大きく影響します。
準備をする人
オフのときに練習の準備をする人は、「練習 ⇒ 準備 ⇒ 練習 ⇒ 準備、、、」という繰り返しの中で、少しづつ練習の質を向上させていきます。
それによって練習の成果を継続的に感じることができ、モチベーションが維持され、練習量も多くなります。
和太鼓上達の方程式の右辺3項目が、相乗効果で働きます。量も質も高くなり、上達スピードが上がります。
準備ができる人は、練習上手であり、継続上手でもあるのです。
準備をしない人
準備をおろそかにする人は、「練習 ⇒ 練習 ⇒ 練習 ⇒ 練習、、」となっています。
これはやみくもに練習をしているだけなので、練習の質は上がりにくいです。
- 最初は上達を感じるが、続けているうちに頭落ちになってくる。
- モチベーションが下がり、練習量も減ってくる。
- 一念発起してたくさん練習することもあるが、練習の質が良くなく一時的な満足感を得て元に戻る。
準備をしないと和太鼓上達の方程式の相乗効果が働かず、マイナススパイラルに陥ります。
あなたは、準備をおろそかにして「練習 ⇒ 練習 ⇒ 練習 ⇒ 練習、、」となっていませんか。
準備作業のルーチン化
和太鼓は、「準備と練習」を繰り返すことで上達します。なので、準備も継続して行うことが必要です。
しかし、私のようなアマチュア和太鼓人の場合、オフのときは、仕事や家族のこと、睡眠や休息など様々なやるべきことがあります。
やるべきことの時間を無理に削って、準備の時間を作っても、それは長続きしないでしょう。
また、行き当たりバッタリの準備をしていても、忙しいオフの時間に準備をすることがおっくうになって長続きしません。
オフ時間に準備をするには、準備作業を効率化し、日常の時間にうまく組み込む工夫が必要です。
私は、準備作業でやることを3つに決めて手順化しています。
これにより、歯磨きやお風呂のように、日々のルーチンとして、淡々と準備作業をするようにしています。
練習の準備で行う3つのこと
では、練習の準備では何をすればよいのでしょうか?
私は、準備を3つのフェーズに分けて考えています。
フェーズ | 説明 |
---|---|
結果の確認 | 前回の練習で出来たこと、出来なかったことを整理する |
対策の検討 | 出来なかったことがどうやったら出来るようになるかを検討する |
計画の作成 | 検討した結果を次回の練習のメニューに反映する |
結果の確認
結果の確認フェーズでは、練習で出来たこと、出来なかったことを整理します。
評価と気付きをメモる
練習項目ごとに評価と気づきをノートに整理します。 例えば以下のような感じです。
項目 | メモ |
---|---|
練習内容 | 左手主導でタンタカを叩く |
テンポ | 120 |
練習時間 | 3分 |
評価 | △ |
気付き | 2分ぐらいから左手がブレる |
練習内容、テンポ、練習時間は、やった事実を書きます。
評価は、狙ったことが出来たか、出来なかったのかを「○×△」で記録します。細かいことにこだわるとおっくうになりますので大雑把でいいです。
気付きは、新しい発見や課題、感想など何でも良いので、一言書く癖をつけておきましょう。素直な気づきが後で役に立ちます。
結果で一喜一憂しない
結果の確認で大事なことは、「○×△」という評価で一喜一憂しないことです。
×が多いのはチャレンジしている証です。×が少ないのは、目標が低くて成長していないということです。
大切なことは、何が出来て何が出来ないかを具体的に知ることです。
例えば、「テンポ100ならできるが120では出来ない。テンポ120のときは、右手は問題ないが、左手がときどき遅れる」という感じです。
×が多いからといって、その原因を練習する時間がないからとか、才能がないからという風に考える必要はありません。それでは、モチベーションが下がります。
「出来ないことを具体化できたぞ。じゃあどうすれば出来るか。」という方向で考えるようにしています。
なので、「評価は淡々とつける。気付きはなるべくメモする」ようにしています。
新しいことの気付きが、練習の楽しみになり、練習の継続につながっています。
対策の検討
対策の検討フェーズでは、出来なかったことがどうやったら出来るようになるのかを検討します。
ここでは情報収集力と自分の頭で考える力がものをいいます。
まず、先生のアドバイス、教則本やネットの情報、これまでの自分の経験など、いろいろな情報ソースを総動員します。
そして、自分の頭で咀嚼し、考え、使えそうなもの、優先順位の高いものを選択します。
ポイントはシンプルに考えることです。
大切なことは、たくさんありません。結局、脱力だったり、姿勢だったり、左右のバランスだったりと、基本的なことに戻ってきます。
上の例(テンポ120では左が遅れる)では、以下の様な対策が考えられます。
考えらる原因 | 対策 |
---|---|
テンポ120に耳が慣れていない | 通勤時にスマホでメトロノームを120で聞く |
左手に力が入っている | 脱力して叩けるテンポに落として練習する |
左手のバチの軌道が右と違う | 左右一緒に同じリズムを叩き、左右の軌道を揃える練習をする |
自分の知識や考え方、見る目を鍛えながら、ポイントとなることを洗練させていく、まさに上達の源泉となるプロセスなのです。
計画の作成
計画の作成フェーズでは、以下の2つのことを行います。
- 練習目的と達成基準の整理
- 練習メニューの改善
練習目的と達成基準
練習計画には、練習目的と達成基準が必要です。
何を狙ってその練習をやるのか、どのレベルまで出来たらOKなのかが明確になると、練習結果を評価することがやりやすくなります。
例えば、次の演奏会で叩く楽曲の苦手なフレーズを取り出して練習する場合を考えます。
そのフレーズの習熟度合いによって練習目的が変わり、その目的に応じて達成基準を定めます。
step | 練習の狙い | 達成基準 |
---|---|---|
step1 | フレーズの口唱歌を覚える | ゆっくり楽譜を見ずに5回歌える。 |
step2 | フレーズの手順を覚える | 手順を間違えずに10回叩く |
step3 | アクセントなどの表現を確実にする | テンポ60でアクセントを確実に叩く。 |
step4 | 目的のテンポで叩けるようにする | テンポ80で3分間叩く。 |
達成基準は、テンポや成功回数、叩けた時間など数字で定義します。できた/できなかったが明確になり、結果確認フェーズで迷う事がなく効率的です。
また、この段階において目的や達成基準が曖昧だったとしても、曖昧であることがわかったことが重要な練習の成果です。
なので、まずとりあえず、練習目的と達成基準をノートに書くことをおすすめします。
この練習目的と達成基準を順番に並べたものが、練習メニューです。
練習メニューの改善
対策の検討フェーズの結果を練習のメニューに反映します。
例えば、左手が遅れることへの対応であれば、テンポを落とす、手順から右手を抜く(左手のリズムだけ取り出す)、なとです。
ここで大切なのは、メニューに何かを増やしたら何かを減らすということです。
時間は有限ですから、優先順位をつけることが必要になります。
満遍なくなんでもやるのではなく、なにが大切な要素かを自分で考えて、時間配分を決めましょう。
優先順位をつけるときのポイントは、焦らないことです。
焦って早く結果がでることを求めすぎると、たくさんのことを盛込み過ぎたり、無理なスキルレベルの練習をしてみたりして、練習の質を逆に落とすことになります。
対策検討フェーズでは情報量が大事といいましたが、優先順位をつけるときは、その情報が「あれもこれも
と焦りを生むことになります。
計画作成フェーズは、自分にとって大切なことを見つめる時間なのです。
練習の質を上げるために必要な道具
測定し記録する
練習の質を上げるには準備が大切であり、結果の確認、対策の検討、計画の作成と言う3つのことをやりましょうということを説明してきました。
このプロセスを実行する上で大事なことがあります。
それは「測ることと記録をとること」です。
人間の感覚は自分が思っている以上に適当ですし、昨日と今日ではだいぶ違います。だから、自分を測る道具が必要です。
また、人間は忘れやすいものですし、間違って記憶します。なので記録を残すことが必要です。
正確に測り、記録を取ることで、事実に基づいた準備ができるのです。
間違ったインプットをもとに準備をすると、間違った方向の練習しかできません。
練習に必須な3つの道具
測定と記録のために次の3つを使っています。
- メトロノーム
- タイマー
- ノート
練習の計画は、「テンポ120で3分間」といった数値目標として立てます。
なので、テンポを測るメトロノームと時間を測るタイマーが必要です。
そして、結果の確認では、その評価と気付きをノートにメモします。
この3つの道具なしでは、練習の質を上げるのとは難しいと思います。
上達のPDCAサイクル
和太鼓の上達とPDCAサイクル
練習計画を作成し、練習を実行し、その結果を確認し、改善案を検討する。
これは、PDCAサイクルそのものです。
練習計画(PLAN)→練習(DO)→結果確認(CHECK)→対策検討(ACTION)というサイクルですね。
PDCAとは、練習と準備の繰り返しとも見れます。
準備でやるべき3つのことは、PDCAのC、A、Pにあたります。
具体的に準備でやるべき3つのことを表に整理するとこんな感じです。
練習をいっぱいしているのになかなか上達できないのは、PDCAサイクルが上手く回っていないということでもあります。
何にでも使える汎用的な方法論
PDCAサイクルの例からもわかるように、ここで紹介した「練習の質を改善するためにやるべき3つのこと」は、和太鼓上達に限らず、スキルアップを目指すものなら何にでも使える汎用的な方法論です。
例えば、ゴルフの練習、ブログのレベルアップ、子供の勉強などなど、使えるものは一杯あります。
本質的なものは応用が効くということですね。
まとめ
練習の質を上げるために私がやっている方法を紹介しました。
最後に、コレだけはやっておこう、といものを紹介します。
「テンポと練習時間を決めておき、その結果を記録する。」
まずは、これだけでも練習の質を上げるのに役立つことでしょう。
さあ、メトロノームとタイマーとノートを準備しようではありませんか!